現代軽文学評論

ライトノベルのもう一つの読み方を考えます。

2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年の回顧と展望

今回は、現代日本のライトノベルを「評論する」という趣旨に即して、2017年を振り返り、回顧と展望を行います。①2017年下半期アクセス数ランキング、②ブログ主的2017年の思い出の記事の二本立てです。よろしくお付き合い下さいませ。

ライトノベルにおけるアンソロジーの位置とその歴史

今回は、前回の記事「アンソロジーの味わい」の番外編。ライトノベルにおいてアンソロジーがどういう意味を持っているのか、どのような素晴らしい作品があるのかを紹介します。

アンソロジーの味わい ― 井上堅二ほか『ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ』

このほどアンソロジー『ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ』(ファミ通文庫、2017年10月発売)が刊行されました。参加した作家は総勢20名の豪華版です。今回はこの新刊を紹介しながら、ライトノベルの新しい動向についても語ってみようと思います。

物語のなかのフィクション ― 枯野瑛『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』

現在注目されている枯野瑛『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』全6巻(スニーカー文庫、2014~17年)。アニメ版からはどうしても見えにくくなってしまう本作のもう一つの側面について語ってゆきます。

ヒストリカル・ファンタジーへの挑戦 ― 野村美月『アルジャン・カレール』

今回は、野村美月『アルジャン・カレール』(ファミ通文庫、2014年10月発売)を取り上げます。常に彼女にしか書けないような作品を出し続ける実力派作家による「ヒストリカル・ファンタジー」について、今回は語ってみたいと思います。

終わってしまった物語を想像する ― 今井楓人『救世主の命題』(その三)

これまで連続で紹介してきた今井楓人『救世主の命題』ですが、残念なことに3巻目で打ち切りとなってしまいます。最終回では、この作品を心から愛する一読者の勝手な想像を通じて、この終わってしまった物語の可能性を想像してみようと思います。

地球が救われた未来で、僕らはまた恋をするから ― 今井楓人『救世主の命題』(その二)

前回に引き続いて、今井楓人『救世主の命題』について語ります。第2巻と第3巻では、どのように物語は展開するのでしょうか。今回も、私の深く思い入れてきた作品を、ネタバレ全開で紹介いたします。どうぞご容赦ください。

だから、僕は世界を救おう ― 今井楓人『救世主の命題』(その一)

今回は、ぜひとも紹介したいと思いながら出来ていなかった作品について語ります。それは、今井楓人『救世主の命題〈テーゼ〉』(MF文庫J、2013年6月発売)。主人公とヒロインたちをめぐる温かく切ない恋愛を描いた、もう誰も語らないかもしれない良作です。

素晴らしきものへの愛を語る ― トネ・コーケン『スーパーカブ』

今回はトネ・コーケン『スーパーカブ』(スニーカー文庫、2017年5月発売)を取り上げます。地味で、丁寧で、そして愛に溢れたこの作品について、似た作風を持つ作品群と重ね合わせながら紹介してみたいと思います。

彼女の「革命」の精神 ― 仙波ユウスケ『リア充になれない俺は革命家の同志になりました』

最近の「学園もの」では、スクールカーストを題材としたものが多く見られます。今回はそのなかでも、劇薬級の作品であった仙波ユウスケ『リア充になれない俺は革命家の同志になりました』全2巻(講談社ラノベ文庫、2016年)を紹介します。

みんはな10年前のことを覚えているかい? ― 木緒なち『ぼくたちのリメイク』

今回は木緒なち『ぼくたちのリメイク』(MF文庫J、2017年3月発売)です。この作品は、2006年という具体的な年を指定している点が注目されます。そこで、この10年間の時代の変化について、本作ともゆかりのある作品も紹介しながら考えてみます。

劇場版が原点を再発見させる ― 川原礫『ソードアート・オンライン』

劇場版『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』が公開されました。そこで今回は、SAOシリーズについて、劇場版を通して浮かび上がった、この作品の原点について考えてみたいと思います。

「異世界」とはどのような世界なのか ― 豊田巧『異世界横断鉄道ルート66』

近年流行りの「異世界もの」について、ちょっと変わった作品が生まれました。豊田巧『異世界横断鉄道ルート66』(ファンタジア文庫、2016年12月発売)について、世界設定、キャラクター、ストーリー展開の3つの要素に整理して論じてみます。