現代軽文学評論

ライトノベルのもう一つの読み方を考えます。

終わってしまった物語を想像する ― 今井楓人『救世主の命題』(その三)

こんにちは。前々回(その一)・前回(その二)と今井楓人『救世主の命題』全3巻(MF文庫J、2013~14年)の紹介を行ってきましたが、今回が最後となります。さて、第1回目でも書いたように、この作品は打切り作品でありながら、話を畳むことなく終わった作品…

地球が救われた未来で、僕らはまた恋をするから ― 今井楓人『救世主の命題』(その二)

こんにちは。前回(その一)に引き続き、今回も今井楓人『救世主の命題』について語ってみます。第1巻では、根暗で中二病な主人公の永野歩は、世界を救うために“憧憬”のテーゼを持つ1番目のヒロイン・春坂遥菜と付き合い、そしてすべてはリセットされました…

だから、僕は世界を救おう ― 今井楓人『救世主の命題』(その一)

こんにちは。3ヶ月連続でPV数100件超えというのは、大変嬉しいものです。見て下さった方々、読んで下さった方々にはただただ感謝しかありません。また、累計PV数も2000件を超えました。これからも頑張ってゆきたいと思います。さて、今回はこのブログを始め…

素晴らしきものへの愛を語る ― トネ・コーケン『スーパーカブ』

こんにちは。こんな零細で長文で小難しいブログでも、続けていれば多少は読んでくれる人がいるのでしょうか、先月に引き続き今月もPV数が100を超えました。とても嬉しく思います。この投稿で記事がようやく10件目になりますが、まずは月刊ペースでじっくり取…

彼女の「革命」の精神 ― 仙波ユウスケ『リア充になれない俺は革命家の同志になりました』

こんにちは。最近の学園もののライトノベルでは、スクールカーストを題材としたものが多く見られます。渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(小学館ガガガ文庫、2011年~)が大ヒットしたことが原因でないかと思うのですが、後に続く作品は色…

みんはな10年前のことを覚えているかい? ― 木緒なち『ぼくたちのリメイク』

こんにちは、お久しぶりです。こんな不定期更新のブログでも、はじめて1ヶ月で閲覧者数100を超えると少し驚きです。今年1月に書いた豊田巧『異世界横断鉄道ルート66』の記事を作者さんご本人がFacebookで紹介いただいたのが原因のようです。こんな小難しい文…

劇場版が原点を再発見させる ― 川原礫『ソードアート・オンライン』

こんにちは。最近、話題になっている劇場版『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』を観てきました。劇場に足を運ぶ価値のある、良作だったと思います。 今回の劇場版は、原作者の川原礫が脚本を担当し、音楽の梶浦由記も実に良くて盛り上がり…

「異世界」とはどのような世界なのか ― 豊田巧『異世界横断鉄道ルート66』

お久しぶりです。新しい記事をようやく書き上げました。今回は、いま流行りの「異世界もの」について考えてみたいと思います。 皆さんもご存知のように、2010年代に入ってから異世界を舞台とするファンタジー作品が再び多く出るようになりました。2ちゃんね…

短編小説賞と「家族」問題 ― 五十嵐雄策『幸せ二世帯同居計画』

随分と更新をサボっていました。再開したいと思いつつ、実に3年以上も書いていなかったことになります。この間、ライトノベルの動向も随分と変化しました。しかし、変化していない部分もあります。今回はそんなお話。 五十嵐雄策『幸せ二世帯同居計画~妖精…

軍事リアリズムは米軍基地を描く?

ライトノベルはエンターテイメント小説ですが、実は政治の争点となったり、社会問題とされたりする題材が描かれています。ハードなSFやファンタジーでは、作品の設定上こうした傾向は薄いのですが、多くの場合、読者の共感を得るために「日常」を題材にする…

読み手に挑戦するライトノベル ― 米倉あきら『インテリぶる推理少女とハメたいせんせい』

米倉あきら『インテリぶる推理少女とハメたいせんせい - In terrible silly show, Jawed at hermitlike SENSEI -』(イラスト・和遙キナ、HJ文庫、2013年3月発売)が一部で話題になっています。私も一読して衝撃を受けました。 取り敢えず、HJ文庫がどう売り…

富士見書房と築地俊彦

ライトノベルの老舗レーベルといったら、富士見書房の富士見ファンタジア文庫ですが、レーベルとしての雰囲気は時代によって異なります。90年代は『スレイヤーズ!』や『魔法戦士リウイ』に代表されるファンタジー路線、2000年代は『鋼殻のレギオス』や『ご…

Changing Times, Changing Publishing

初めまして、Bun Sekidateです。 ライトノベルを中心にアニメ・マンガなどを論じるブログを立ち上げるに当たり、ライトノベルの出発点を考えてみようと思います。 とはいえ、ライトノベルの起源をめぐる説は色々ある訳で、例えば、ソノラマ文庫創刊の1975年…